
今年も素晴らしい小説との出会いがありました!
今回は、心を揺さぶられた10冊の小説を「みての文学賞2024」と銘打って紹介します。
順位なんてどうでもいい! それぞれの本が、私に新しい世界を教えてくれたんです。
さあ、一緒に旅しましょう!
〈みての文学賞2024〉受賞作
- 山下紘加『ドール』
- 九段理江『悪い音楽』
- 山崎ナオコーラ『美しい距離』
- 尾崎世界観『転の声』
- 木村友祐『野良ビトたちの燃え上がる肖像』
- 綿矢りさ『勝手にふるえてろ』
- 綿矢りさ『ひらいて』
- 乗代雄介『旅する練習』
- 佐藤友哉『アイスピック』
- 佐川恭一『サークルクラッシャー麻紀』
山下紘加『ドール』
あらすじ
その日、少年は、自分だけの特別な人形を手に入れたいと思った――少年の「闇」と「性」への衝動を描く、第52回文藝賞受賞作!
感想
ラブドールと中学生!? もうこの時点でヤバさ満点。 読んでて「やめてー!」って叫びたくなるけど、なぜか目が離せない。暗い世界にどっぷりハマった自分にゾッとした。
九段理江『悪い音楽』
あらすじ
音楽教師ソナタは、生徒を猿だと思っている。才能に溢れるが、心が無いのだ──
感想
教育現場の闇を覗いた気分。 これ、実在したら即逃げ出すレベル。恩田陸さんの『六番目の小夜子』を思い出したけど、こっちの方が100倍居心地悪くて最悪な気分(良い意味で)になれた。
山崎ナオコーラ『美しい距離』
あらすじ
死ぬなら、がんがいいな。
がん大国日本で、医者との付き合い方を考える病院小説!ある日、サンドウィッチ屋を営む妻が末期がんと診断された。
夫は仕事をしながら、看護のため病院へ通い詰めている。
病室を訪れるのは、妻の両親、仕事仲間、医療従事者たち。
医者が用意した人生ではなく、妻自身の人生をまっとうしてほしい――
がん患者が最期まで社会人でいられるのかを問う、新しい病院小説。
感想
がん患者の日常を描いた新感覚小説。 重たいテーマなのに、不思議と心が軽くなる。医者が用意した人生じゃなくて、自分らしい最期って何だろう?考えさせられまくりです。
尾崎世界観『転の声』
あらすじ
第171回芥川賞候補作。
「俺を転売して下さい」喉の不調に悩む以内右手はカリスマ”転売ヤー”に魂を売った⁉ ミュージシャンの心裏を赤裸々に描き出す。主人公の以内右手は、ロックバンド「GiCCHO」のボーカリストだ。着実に実績をつみあげてきて、ようやくテレビの人気生放送音楽番組に初出演を果たしたばかり。しかし、以内は焦っていた。あるときから思うように声が出なくなり、自分の書いた曲なのにうまく歌いこなせない。この状態で今後、バンドをどうやってプレミアムな存在に押し上げていったらいいのだろうか……。
そんなとき、カリスマ転売ヤー・エセケンの甘い言葉が以内の耳をくすぐる。「地力のあるアーティストこそ、転売を通してしっかりとプレミアを感じるべきです。定価にプレミアが付く。これはただの変化じゃない。進化だ。【展売】だ」
自分のチケットにプレミアが付くたび、密かに湧き上がる喜び。やがて、以内の後ろ暗い欲望は溢れ出し、どこまでも暴走していく……
果たして、以内とバンドの行きつく先は?
著者にしか書けない、虚実皮膜のバンド小説にしてエゴサ文学の到達点。
感想
ロックバンドの裏側、丸見え! 尾崎世界観さんの実体験が詰まってそう。ライブで声が出ない描写がリアルすぎて胸が痛い。転売ヤーとの関係性も闇深すぎ。尾崎世界観さんにしか書けない世界って感じがめっちゃする。
木村友祐『野良ビトたちの燃え上がる肖像』
あらすじ
河川敷で猫と暮らす柳さんは、アルミ缶を集めて生活費とキャットフード代を稼いでいる。あちこちでホームレスが増えてきたある日、「野良ビトに缶を与えないでください」という看板を見つける。やがて国ぐるみで野宿者を隔離しようとする計画が……。ほんの少しだけ未来の日本を舞台に、格差、貧困、差別の問題に迫る新鋭の力作。
感想
ホームレス文学の最高峰(他にホームレス文学があるかどうかは謎)。現実味がありすぎて怖い。明日は我が身かもって思うと、背筋が凍る。社会問題をこんな形で描くなんて、木村さんの想像力すごすぎ。
綿矢りさ『勝手にふるえてろ』
あらすじ
私には彼氏が二人いる──中学時代からの不毛な片思いの相手と、何とも思ってないのに突然告白してきた暑苦しい同期。26歳まで恋愛経験ゼロ、おたく系女子の良香は“脳内片思い”と“リアル恋愛”のふたつを同時進行中。当然アタマの中では結婚も意識する。しかし戸惑いと葛藤の連続で……悩み、傷つき、ついにはありえない嘘で大暴走!? 良香は現実の扉を開けることができるのか? 切なくキュートな等身大の恋愛小説。
感想
26歳まで恋愛経験ゼロの主人公が大暴走! 可愛らしい表紙に騙されるな。中身は意外とハード。同窓会後、イチ(“脳内片思い”の相手)とベランダで語るシーンは思わず「ウッ」と声が出そうになった。なかなかの辛さ。
綿矢りさ『ひらいて』
あらすじ
“たとえ”という名の男子に恋をした女子高生・愛。彼の恋人が同級生の美雪だということを知り、次第に接近する。火のように激しい気性を持った愛は、二人の穏やかな交際がどうしても理解できず、苛立ち、ついにはなぜか美雪の唇を奪う――。身勝手にあたりをなぎ倒し、傷つけ、そして傷ついて。芥川賞受賞作『蹴りたい背中』以来、著者が久しぶりに高校生の青春と恋愛を詩的に描いた傑作小説。
感想
高校生の恋愛、超展開! 好きな人の彼女にアタックしちゃうって、どういう心理!?でも不思議と共感できちゃう青春小説。
乗代雄介『旅する練習』
あらすじ
第34回三島由紀夫賞、第37回坪田譲治文学賞、ダブル受賞!
第164回芥川賞候補作中学入学を前にしたサッカー少女と、小説家の叔父。
コロナ禍で予定がなくなった春休み、ふたりは利根川沿いに、徒歩で千葉の我孫子から鹿島アントラーズの本拠地を目指す旅に出る。
歩く、書く、蹴る――ロード・ノベルの傑作!読み終えて、声をあげるほど泣いた。
大塚真祐子さん(文筆家・元書店員)「好きなこと」がなにかひとつでもある人に、絶対読んでほしい。
金子由里奈さん(映画監督)
感想
サッカー少女と叔父の旅物語。 これ、絶対泣くから覚悟して。第164回芥川賞候補作だけど、もし受賞していたら泣く人が続出で大変なことになっていたと思う。ロード・ノベルの新境地を開拓した感じ。
佐藤友哉『アイスピック』(『新潮』2018年9月号 掲載作)
あらすじ
雪深い故郷に息子を連れて戻ってきた男を主人公に、狂気と妄執の追跡行を描いた作品。
感想
狂気と育児の物語。 主人公の身勝手さに思わず「ちょっと待って!」って叫びたくなる。でも育児のリアルさに「あるある」と頷いちゃう。重たいけど、私的には佐藤友哉さんの最高傑作。
佐川恭一『サークルクラッシャー麻紀』
あらすじ
文芸サークル「ともしび」は地道な活動を重ね、各種文学賞においてかなりの成果をあげていた。しかし超絶美女・麻紀の加入により様相は一変。荒れに荒れる人間関係、失われる童貞、飛び交う情念――「ともしび」に明日はあるのか?
感想
エロ要素満載の文学サークル物語。 面白すぎて困る。誰にも薦められない。だって「お前、普段からこんなの読んでんの?」って引かれそう。電車やカフェなど出先では絶対読めない。腹筋崩壊必至だし変な声出る。
おわりに

今年も個性豊かな小説たちと出会えて、本当に幸せでした。
読書って、自分の知らない世界を覗き見る特権みたいなもんですよね。今回紹介した10冊も、それぞれが独特の世界観を持っていて、読むたびに「へぇ~、こんな考え方もあるんだ」って驚かされっぱなし。
特に印象的だったのは、九段理江さんの『悪い音楽』。音楽教師が生徒を猿扱いする世界観が、教育現場の闇深さを見事に描き出していて、読んでいて背筋が凍りました。
あと、佐川恭一さんの『サークルクラッシャー麻紀』。これ、マジで人前で読んじゃダメですよ。爆笑しちゃって、周りの人に変な目で見られます。でも、文学とエロスの絶妙なバランスが堪りません。
さあ、あなたも新しい本との出会いを楽しんでみませんか? きっと、想像もしなかった世界が広がっているはずです。それじゃ、また来年も素敵な本との出会いを楽しみにしています!









